VGC2018 INC January 3位[レート1829]
『メガなし、カプなし、彼女なし』
【はじめに】
今回紹介するのは、1月のインターナショナルチャレンジにて私が3位を獲得した構築になります。
簡易的な紹介はコチラ(↓)。
完全な初見殺しパーティです。
基本選出はゲンガー/ランドロス/カビゴン/ミミッキュorニョロトノ
・使い方
①ランドロス+ゲンガーで大爆発をしながらトリックルームをします。
②ゲンガーの横にカビゴンを出して、サイドチェンジ+はらだいこをします。
③ゲンガーが倒れたらミミッキュorニョロトノを出して高火力Z技と最強カビゴンで殴ります。
④大体勝ちます。
突っ込みどころは様々あると思いますが、一番のポイントは”メガシンカなし”というところではないでしょうか。しかしながらメンツを見ただけでは分からない部分もあると思うので、この構築の動かし方や採用理由等詳しい解説を加えたいと思います。
【構築経緯】
この構築の始点は「腐らないニョロトノ」でした。ニョロトノはペリッパーのように「盤面に影響を与えられる『おいかぜ』」もなければ「優秀な攻撃範囲の『ぼうふう』」もなく、唯一の利点と言えば「ほろびのうた」くらいなものです。けれど、「ほろびのうた」は一発でどんなポケモンも2匹持って行くことができる強力な技です。私はこの技の存在だけでもペリッパーを差し置いてニョロトノを採用する価値があると考えました。しかし、一般的な雨パーティの「ほろびのうた」は相手2匹を倒した後の締める技として採用されているにも関わらず、ニョロトノ自体は相手ポケモンを持っていく力がない。つまりそうした中でニョロトノが”腐る”場面が存在することに不満を感じていました。よって私は「攻撃的なニョロトノ」が「腐らないニョロトノ」の一つの正しい形なのではないかという考えを持ちました。しかし現環境では、攻撃的なニョロトノが採用される構築は存在しません。その理由を私なりに考察してみた結果、①ニョロトノは基本的に雨パーティに採用されるため、天候を維持するのに受け回されることが多いポケモンであること②メガゲンガーなどと違い素早さが低いため、ほろびのカウントを稼ぐ際だけでなくほろびのうたを打つターンも技を被弾しなければならないこと 以上の2点から耐久ベースに割いていることが多いのではないだろうか、という考えに至りました。つまり、①天候にあまり依存しないこと②相手から攻撃をされないこと この2点が達成できれば攻撃的なニョロトノを採用しても耐久を減らしたことによる弊害は起こらないはずです。以上のことから「ミズZハイドロポンプ」で自ら相手ポケモンを倒せるような性能を持たせ、それを生かすための手段である素早さ操作ギミックとして「トリックルーム」を採用しました。ターン数に制限のある素早さ操作は相手の「まもる」を誘発しやすくなるため、ミズZを消費した後はそういった行動に合わせて「ほろびのうた」を選択することで一気にゲームを決めることが可能になりました。
さて、“ミズZ滅びニョロトノ”によって相手ポケモン一匹を倒すこととほろびのうたを通すプランまでは良いとします。しかし、「ほろびのうた」を成立させるためには相手ポケモンを残り2匹にする必要があるため、Zワザを使用せずにあと1匹をどうにかして処理しなければなりません。そこでひとまずは「いのちがけ」の採用を検討しました。「いのちがけ」を採用するのであれば隣でトリックルームを打つのも難しくないだろうと思い、「アギルダー+トリックルーム」の形を模索しました。こうしてできた並びが「アギルダー+カプ・テテフ」から発想を得た「アギルダー+メガゲンガー」という形。この並びであればまずトリックルームは読まれないし綺麗に決まるような気がしていたのですが、トリックルームがバレるバレないに関わらず耐久に振ったバンギラスに対して何もできず負けてしまったため解散しました。しかし、ゲンガーでトリックルームという形には手応えを感じたためその方向で考察を進めることにしました。そこで思い出したのが、「ゴチルゼル+カビゴン」という並びで「カビゴンが『じばく』」をする構築でした。このコンボも単純で強力なのですが、相手のねこだましがどちらに飛んでくるか分からない点や、だいばくはつしている隙にゴチルゼルが何もしないことに弱さを感じていました。しかし隣がゲンガーであればどうでしょう。「じばく」と「トリックルーム」のどちらかが、あわよくば両方、綺麗に成立するのではないかと考えました。更にアギルダーで学んだ点から、ゲンガーの隣に置くポケモンはある程度バンギラスに対して強い必要があると考え、ランドロスを採用しました。
ここまでで3匹が決定。とりあえずは基本選出の4匹で考えるとして、残り1匹に求める条件はメガシンカもZワザもなしに火力の出せるトリルアタッカーでした。そこで最初に浮かんだのがカビゴンです。はらだいこを積んでしまえばほとんど相性も関係なしに相手ポケモンを倒すことができるので“ミズZ滅びニョロトノ”との相性も良さそうです。また、ゴーストタイプとノーマルタイプはいわゆる“縦の相性”で噛み合っていて、サイドチェンジとの相性が良いです。そんなところで“はらだいこ”と“サイドチェンジ”の形を採用してみました。
この時点で残り2匹を適当に加えてこのような形になりました。
(2017年12月中旬)
これを友達に見せて相談したところ、自分が思っている以上に高い評価を受けたためINCで使う構築候補の一つとして真剣に考察を始めました。また、こういった初見殺し要素の強い構築はバレてしまうと全く勝てなくなってしまう可能性があるため、INCまでほとんど回さず脳内で調整を行いました。
この時点での課題は
よってこれらに対する回答として
その他努力値配分等細かな調整をして
(INC January 使用時)
こうして、意識の外からの「トリックルーム」による素早さ操作、
「ハチマキだいばくはつ」、「はらだいこカビゴン」「ミズZハイドロポンプ」
と分かりやすく強力な3つの勝ち筋に加え、勝ちを更に強固にする「ほろびのうた」を採用した構築が完成しました。
【個別解説】
ゲンガー
実数値:167-70-81-200-95-103
努力値:252-0-6-252-0-0
持ち物:きあいのタスキ
特性:のろわれボディ
わざ:ヘドロばくだん/サイドチェンジ/トリックルーム/まもる
「きあいのタスキ」「トリックルーム」「サイドチェンジ」と、初見殺し要素をふんだんに盛り込んだゲンガー。相手はメガゲンガーだと思い込んでくれるため、初手に集中されることはほとんどなく綺麗にトリックルームが成立します。ただ、れいせいC振りとは言えゲンガー自体に大した火力があるわけではないので、トリックルーム成功後はサイドチェンジを使用して早めに倒してもらうことを考えて立ち回ります。
特性のろわれボディが地味ながら強力で、リザードンのねっぷうなどに対して発動すると大きなアドバンテージが得られます。きあいのタスキを所持しているため発動機会もそれなりにあり。
A個体値を下げると不一致イカサマを2発耐えるので下げた方がいいです。
実数値:165-216-110-x-100-143
努力値:6-252-0-0-0-252
持ち物:こだわりハチマキ
特性:いかく
わざ:だいばくはつ/いわなだれ/ばかぢから/はたきおとす
→「だいばくはつ」でB4振りジャラランガ程度まで確定一発
→「だいばくはつ」でH252カプ・レヒレが75%で一発
→「ばかぢから」でH252ナットレイ確定一発
ゲンガーと並べて、基本的には「だいばくはつ」のみ押します。トリックルームが決まらなそうな場合を除いてこのポケモンが退場するのが大事なので、相手が「まもる」を押してきそうな場合でも爆発します。
対雨パーティではナットレイにばかぢからを打ち込みたいため、爆発は押さず大事に扱います。
また、ジャラランガ処理の肝でもあります。初手のジャラランガはランドロスでカモります。後発の場合はミミッキュに任せます。
「じしん」は浮いているポケモンがいないことや、そもそも打ちたい場面があまりなかったため採用を見送りました。
実数値:236-178-117-x-130-31
努力値:6-252-252-0-0-0
持ち物:ウィのみ
特性:くいしんぼう
わざ:やつあたり/10まんばりき/はらだいこ/まもる
→A5段階上昇「やつあたり」でほとんどのクレセリア確定一発
「トリックルーム」や「ほろびのうた」と組み合わせる都合上、「はらだいこ」を打った後にできるだけ多くのポケモンを一発で落とす必要があると考えたため、火力に振り切る形となりました。また、ミミッキュで2度目のトリックルームを狙う場合や、ほろびのうたとのシナジーを考えて「リサイクル」ではなく「まもる」を採用しました。
実数値:197-80-96-156-120-67
努力値:252-0-6-252-0-0
持ち物:ミズZ
特性:あめふらし
わざ:ハイドロポンプ/てだすけ/ほろびのうた/まもる
→ミズZハイドロポンプ[天候:あめ]でHP252振りカプ・テテフ程度まで確定一発
前述の理由により攻撃方面に努力値を大きく割きました。Cの値はルンパッパと同じ、と言えばイメージが掴みやすいのではないでしょうか。ご存知の方も多いとは思いますが、火力を持たせたニョロトノという発想自体は5世代のR雨スイッチに代表されるような「みずのジュエル持ちニョロトノ」で既に存在しており、その強さはある程度保証されています。そういった背景もあって、特に抵抗なくこの型を採用できました。
Zを消費した後は「ほろびのうた」を打つことで腐ることがありません。特にテッカグヤ入りのパーティに対しては必ず選出し、テッカグヤを無視して隣のポケモン2匹を倒したところで滅びを押して締めます。
実数値:162-156-102-x-125-90
努力値:252-252-6-0-0-0
持ち物:ミミッキュZ
特性:ばけのかわ
わざ:じゃれつく/かげうち/トリックルーム/じこあんじ
→ミミッキュZでカプ・コケコ確定一発
→A6段階上昇かげうちでメガメタグロス確定一発
ジャラランガ対策として投入したポケモンでしたが、予想以上の活躍をしたポケモンでした。
具体的には
・ゲンガーのトリルが決まらなかった場合の2匹目の「トリックルーム」役として
・ミミッキュZによって相手のバンギラスやボーマンダ、カプ・コケコ他様々なポケモンを縛ることが出来るので、結果的にカビゴンの「はらだいこ」のサポートとなる
・「じこあんじ」+「かげうち」によってトリックルームが切れても大きな打点で上を取り続けられる
・基本的にこのポケモンで「トリックルーム」を打つわけではないので「ばけのかわ」が残ろやすい
といった点が挙げられる。尚、ミミッキュZはクチートのじゃれつくと同程度の火力があります。
ルンパッパ
実数値:156-67-90-156-120-122
努力値:4-0-0-252-0-252
持ち物:いのちのたま
特性:すいすい
→「めいそう」を挟んだH252カプ・レヒレをきのみ発動させず確定二発
→C156ルンパッパの「れいとうビーム」耐えメガボーマンダを確定一発
あまり出さないポケモンですが、雨パーティの形を取ることで相手の選出に負担をかける意味もあります。
「だいばくはつ」+「トリックルーム」のプランを捨ててルンパッパを選出した場合でも のように雨スイッチの形を取ることが出来るので、変に歪んだ並びになることもありません。
【使い方】
・基本選出 or
- ゲンガー「トリックルーム」、ランドロス「だいばくはつ」
- ゲンガー「サイドチェンジ」、カビゴン「はらだいこ」
- カビゴンの身代わりになったゲンガーの後ろからミミッキュかニョロトノを投げてカビゴンと共に制圧
1月当時のテテフグロスやレヒレグロスは、雨に対してシードサンダーを初手に置くような構築が一定数存在しました。そういった初手には「だいばくはつ」を押すだけでゲームが終わります。同様にガルーラ構築も、爆破で2体吹き飛ぶような初手で出されることが多かったので非常にイージーでした。
・雨
大体ニョロトノ+ペリッパーを選出されるので、1ターン目はゲンガー「トリックルーム」、ランドロス「いわなだれ」を選択します。ランドロスを狙われると若干厳しいのですが、なぜか皆ゲンガーに「スーパーアクアトルネード」を打ちながら「おいかぜ」を選んでくれるのでそのまま「トリックルーム」を成功させて勝ちです。2ターン目はランドロス交代を忘れないようにしましょう。ナットレイへ「ばかぢから」を当てるため、拘りを解除したいからです。
・ラッキー系統
必中の「ぽかぼかフレンドタイム」と「ほろびのうた」の二本柱で攻めていきます。しんかのきせきを「はたきおとす」で落としてしまえば、「ガードシェア」を受けたラッキーも6段階上昇「ぽかぼかフレンドタイム」でワンパンです。
【総括】
今回の構築は
- 考える要素がそこまで多くない
- 1試合にかかる時間が少ない
- イージーウィン要素しかない
という、インターネット大会の形式にマッチした構築を用意できた点は精神的にも非常に楽でした。特別意識をしていた訳ではありませんが。
何より、自分が目標にしていた「ギガはかいこうせん滅び」のような考えを取り入れた構築で結果を残せたことが単純に嬉しいです。
(↑)一応、戦績です。ここまで読んで頂いてありがとうございました。
【参考文献】
・Rの憂鬱『R雨 2パターン 』
http://d.hatena.ne.jp/R_justice/20120129/1327786257
・EMOLGAME『【S6全国ダブル 2041 最終1位】ゴチルクチート』
http://www.emolgame.jp/blog-entry-159.html